現役を引退した後、自分が何をするかを考えたことはありますか?
多くのアスリートが現役生活に全力を注いでいる一方で、引退後のキャリアに対する漠然とした不安を抱えています。「指導者になるのか」「会社に入るのか」「全く違うことを始めるのか」——しかし、そこで必要なのが“逆算思考”です。これは、目標を先に設定し、そこから逆に現在の行動を設計する考え方。競技の戦略づくりに通じるこの思考法は、キャリア設計にも非常に有効です。
今回は、アスリートが未来のキャリアを「逆算思考」で描くための具体的なステップを紹介します。
「逆算思考」で描くための具体的なステップ
Step1:「3年後の理想の自分」を具体化する
最初に行うべきは、「3年後にどうなっていたいか」を明確に言語化することです。ここでのポイントは、「なんとなく」ではなく、「できる限り具体的に」理想の自分像を描くこと。
例えば:
「子どもたちにスポーツを教えるスクールを運営している」
「企業で営業職として独り立ちしている」
「スポーツに関係しない分野で新たなキャリアに挑戦している」
理想像を描くときは、仕事内容だけでなく、「どんな生活をしているか」「どんな人間関係を築いているか」「どんな働き方をしているか」までイメージすると、現実的なビジョンになっていきます。
Step2:その未来に必要なスキル・経験を洗い出す
3年後の理想像が描けたら、そこにたどり着くために必要なスキルや経験を洗い出してみましょう。
たとえば、「スポーツスクールを運営したい」と思った場合には、以下のような要素が必要になるかもしれません。
子どもへの指導経験
経営知識(収支管理・集客・スタッフ管理)
地域とのつながり(信頼関係・ネットワーク)
この段階で「足りないもの」が見えてくるはずです。しかし、足りない=無理ではありません。「これから身につければいい」と考えることが重要です。現役中にできること、引退後に学ぶべきことを、計画的に考える材料がそろいます。
Step3:1年後・半年後の目標に落とし込む
3年後のビジョンが決まり、必要な要素が見えてきたら、次は「そのために1年後はどうなっているべきか」を決めます。そこからさらに、「半年後には何を始めておくか」へと分解していきましょう。
たとえば:
半年後:週に1度、小学生へのスポーツ指導のボランティアに参加している
1年後:指導経験をもとに、ジュニア指導者資格を取得している
2年後:地域のスポーツクラブと連携し、スクール開設の準備を始めている
このように、3年後という大きな目標を、小さなステップに分けていくことで「今、何をするべきか」が明確になります。
アスリートだからこそ、逆算思考が活きる
アスリートは日々、「試合に勝つには」「目標タイムを達成するには」と逆算して行動してきたはずです。この思考は、キャリア設計にもそのまま活かせます。また、現役中にこの思考を始めることで、引退時の焦りや迷いを大きく減らすことができます。たとえ途中で目標が変わったとしても、逆算思考で積み上げてきた経験やスキルは、必ず次の選択肢を広げてくれるはずです。
未来は“今”からつくられる
キャリアの悩みは、「未来が見えないこと」から生まれます。でも、未来を描いて逆算すれば、「いま何をするべきか」が明確になります。大きな夢でなくても構いません。まずは「3年後、どんな自分になっていたいか」を想像することから始めてみてください。そして、その未来に向かって、今日一歩を踏み出すこと。アスリートの経験と強みを活かした、あなたらしいキャリアが、そこから始まっていきます。