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5月病が離職を招く?企業が知っておきたい基礎知識と早期対策

新年度が始まって間もない5月、多くの企業で「なんとなく元気がない」「欠勤や遅刻が増えた」といった新入社員の様子に気づくことがあります。これはいわゆる「5月病」の兆候かもしれません。

5月病は正式な医学的診断名ではないものの、新しい環境に適応しようとする中で心身のバランスを崩す状態を指し、特に新社会人や転職者に多く見られます。放置するとメンタルヘルス不調や早期離職にもつながりかねず、企業にとっても重大なリスク要因です。

本コラムでは、5月病の代表的な症状やその原因、離職への影響について解説し、企業としてどのように対応すべきかを考えます。

5月病の基礎知識:症状、原因、離職への影響

5月病は正式な病名ではありませんが、新しい環境に適応しようとする過程で生じる心身の不調を指します。放置すると、深刻なメンタルヘルス問題に発展したり、離職につながる可能性もあるため、早期の対策が重要です。5月病は特に新社会人や転職直後の人に多く見られますが、環境の変化があれば誰にでも起こりうるものです。

1. 5月病の代表的な症状

5月病の症状は人によって様々ですが、大きく精神的な症状と身体的な症状に分けられます。これらの症状が複数重なって現れる場合もあります。

1.1 精神的な症状

精神的な症状は、気分の落ち込みや不安感など、内面的な変化として現れます。以下はその代表的な例です。

症状 説明
モチベーションの低下 仕事やプライベートなど、何事にも意欲がわかず、やる気が出ない状態。
集中力の欠如 仕事や勉強に集中できず、ミスが増えたり、作業効率が低下する。
不安感 将来への漠然とした不安や、仕事上のミスに対する不安など、様々な不安に苛まれる。
イライラ感 些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなる。
憂鬱感 気分が落ち込み、何をするにも億劫に感じる。

1.2 身体的な症状

精神的なストレスは身体的な症状として現れることもあります。以下はその代表的な例です。

症状 説明
睡眠障害 寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めてしまう。また、過眠になる場合もある。
頭痛 緊張型頭痛や片頭痛など、慢性的な頭痛に悩まされる。
食欲不振 食欲が低下し、食事量が減る。または、逆に過食になる場合もある。
疲労感 常に疲れているように感じ、身体がだるい。
肩こり、腰痛 精神的な緊張から、肩や腰に痛みを感じる。

2. 5月病の原因と離職への影響

5月病の主な原因は、新しい環境への適応ストレスです。特に新社会人の場合、学生時代とは異なる生活リズム、職場の人間関係、仕事の責任など、多くの変化に適応する必要があります。ゴールデンウィーク中に羽を伸ばした後の反動も、5月病を悪化させる要因となります。また、仕事内容が自分の適性や希望と合わない場合、ミスマッチによるストレスが5月病につながることもあります。これらのストレスが蓄積されると、仕事へのモチベーションが低下し、出社が困難になるなど、最終的には離職に至るケースも少なくありません。厚生労働省の調査新規学卒者の離職状況からも、早期離職の要因として、仕事内容への不満や職場環境への不適応などが挙げられています。企業は、5月病対策を積極的に行うことで、離職率の低下、ひいては人材の確保と育成につなげることが重要です。

5月病が離職を招く | まとめ

5月病は、新しい環境への適応ストレスや仕事内容とのギャップ、人間関係の不安など、複数の要因が絡み合って発症します。症状を見逃さず、早期にサポートを提供することが、社員の心身の健康維持と離職予防に直結します。

企業は一人ひとりの変化に敏感になり、メンタルヘルスケアを組織的に行うことで、人材の定着と活躍の土壌を整えることができます。

5月は、社員の“変化”に寄り添うチャンスでもあるのです。

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