周囲の友人が転職したり、仕事で活躍していたりすると、「自分もそろそろ将来について考えたほうがいいのかな」と感じることがあります。一方で、いざ自分の将来を考えてみると、「やりたい仕事が分からない」という人も少なくありません。
今の仕事をずっと続けたいわけではない。でも、だからといって他に挑戦したい仕事があるわけでもない。20代では、そんなふうにキャリアの方向性に迷うことも珍しくありません。だからといって、今すぐ「将来はこの仕事をする」と決める必要はありません。職種名から答えを探すのではなく、これまでの経験を振り返ることで、自分に合った仕事や働き方が少しずつ見えてくることがあります。
「好きな仕事」より「苦にならない仕事」に注目する
やりたい仕事を考えるとき、「自分が好きなことは何だろう?」と考える人は多いでしょう。もちろん、好きなことを仕事にできれば理想的です。しかし、誰もがすぐに「これがやりたい」と思える仕事を見つけられるわけではありません。そんなときは、反対に「これまであまり苦にならなかったこと」を振り返ってみてください。
例えば、
「初対面の人と話すことは、それほど苦ではなかった」
「細かい数字を確認する作業なら、長時間でも集中できた」
「周囲の予定を調整したり、人をまとめたりすることを自然と任されていた」
こうした経験の中にも、自分に向いている仕事を考えるヒントがあります。特に、自分にとって当たり前にできることは、本人にとって「強み」だと気づきにくいものです。これまでの仕事だけでなく、アルバイトや学生時代の経験まで振り返り、「周囲から頼られていたこと」「無理なく続けられたこと」を探してみましょう。
そこから、自分が得意とすることや、自然に力を発揮できる場面が見えてくるかもしれません。
「やりたくないこと」も立派な判断材料
「やりたい仕事は分からないけれど、やりたくない仕事なら分かる」そんな人もいるのではないでしょうか。実は、これはキャリアを考えるうえで大切な情報です。
例えば、
「毎日同じ作業を繰り返す仕事は合わない」
「数字だけで評価される環境は苦手」
「一人で黙々と進めるより、人と関わる仕事のほうが楽しい」
「目標が曖昧な仕事より、成果が分かりやすい仕事のほうが働きやすい」
など、人によって仕事に対する向き不向きは異なります。過去に仕事で強いストレスを感じた経験があるなら、「何が嫌だったのか」も振り返ってみましょう。仕事内容そのものが合わなかったのではなく、勤務時間や職場の人間関係、コミュニケーションの取り方が合わなかった可能性もあります。「やりたいこと」だけではなく、「避けたいこと」を整理することで、自分に合う環境が見えてくることがあります。
20代でキャリアを決め切る必要はない
社会人になると、「早く専門分野を見つけなければ」「将来の目標を決めなければ」と焦ってしまうことがあります。しかし、実際に働いてみなければ分からないこともたくさんあります。例えば、営業を経験したことで「人と話す仕事が好きだ」と気づく人もいるでしょう。反対に、接客の仕事を経験したことで、「自分は現場に立つより、人をサポートする仕事のほうが向いている」と気づく人もいます。つまり、キャリアは最初に決めた道を、そのまま進み続けなければいけないものではありません。仕事を経験することで、自分の得意なことや苦手なことが分かり、その経験が次の選択につながっていきます。
「将来何になりたいか」を無理に決めるより、
「これからどんな経験を積みたいか」
「今の働き方で、何を変えたいか」
と考えてみるのも一つの方法です。
やりたい仕事は、経験の中から見つかることもある
「やりたい仕事がない」ということは、キャリアについて考えていないということではありません。
これまで苦にならなかったこと。
周囲から評価されたこと。
仕事をしていて楽しかった瞬間。
反対に、強いストレスを感じたこと。
こうした経験を一つひとつ振り返ることで、自分がどんな仕事や環境を求めているのかが少しずつ見えてきます。最初から「この職種が自分の天職だ」と決める必要もありません。20代は、実際に働きながら自分の得意・不得意を知り、さまざまな経験を通してキャリアの方向性を探していく時期でもあります。
大切なのは、今すぐ「将来の正解」を見つけることではありません。
次の仕事でどんな経験をしてみたいのか。今よりどんな働き方に変えてみたいのか。まずは、そこから考えてみてください。一つひとつの経験が、次のキャリアを考えるための材料になります。やりたい仕事がまだ見つかっていなくても、焦る必要はありません。「何がしたいか分からない」からこそ、これまでの経験を振り返り、自分に合う仕事を探していく。
その積み重ねが、いつか「やってみたい」と思える仕事に出会うきっかけになるかもしれません。